漫画アクションで連載されている「ジェノサイド」が打ち切られてしまった。
「ジェノサイド」は劇団☆新感線の中島かずきを原作に、美少女漫画家の小林拓巳を作画として起用した、いわゆる忍法帖的な作品で、大阪夏の陣直後を舞台に、真田十勇士と冥府より甦った里見八犬士との戦いを描く。
タイトルといい、連載開始のタイミングといい、「バジリスク−甲賀忍法帖」の二匹目のドジョウを狙っていたのは明らかであるのだが、いかんせん実力が追いつかなかった感がある。
十勇士対八犬士ということで、本来なら群像劇でなければならないはずなのだが、真田方、佐助中心で話が展開するため、他の人物の動きがにぶくなってしまった。
各地に散らばった十勇士が少しずつ集結するという構成も裏目に出ている。能動的に動かせる人物が常時不足し、忍術バトル物に必要なだけのテンポが生み出せなかった。
また、八犬士という魅力的なモチーフを使用しているのに、ただの悪役として描き捨ててしまったのも惜しい点だ。八犬士側をもう少し掘り下げても良かったと思う。
敵味方共にバタバタと死んでいくのは、忍法ものの作法ともいうべきものだから構わないけれど(ジェノサイドというタイトルはそのあたりを意識していると思われる)、死なせ方、見せ方というものもある訳で。
佐助の肉体に関わる特殊な設定があるのだが、それを提示するためにキャラクターを幾人か殺してしまうというのは如何なものかと思う。忍術ものなんだから、個人的には忍法という特異な技術で生死を決定して欲しいと思うのですよ。
正直なところ「ジェノサイド」には当初期待していたので、この打ち切りは非常に残念だ。
しかし最終回で強引に十勇士を集結させ、「俺たちの戦いは(以下略)」という、打ち切りの様式美ともいうべき形式で有終の美を飾ったのは面白かった。ここまで露骨な打ち切られ方はなかなかできることではありませんよ。