
さっき出品した本の中に、今までまったく聞いたことのなかったタイトルのものが一つ。
その名は山浦弘靖「魔界甲子園」
地獄甲子園を彷彿とさせるタイトルだが、こっちの方が五年ほど早い。
あらすじを読んでみたが何とも、奇妙奇天烈だ。ざっとまとめるとこうなる。
「超高校級の豪腕投手、帝竜介は魔界人である。彼に課せられた使命は、甲子園優勝を取っ掛かりに現世征服をたくらむ悪の邪教集団聖都学園に野球で打ち勝つこと。そしてその裏で暗躍する魔界王国の野望を打ち砕くこと!」
異次元にトリップしそうになる設定だな……。
甲子園優勝が世界征服の取っ掛かりにどうやったらなるのか理解不能だし、学園が邪教集団だったり、主人公が魔界人だったりツッコミ所が多すぎる。そういえば主人公バットじゃなくて刀持ってるよ。
後書きを読んでみると、テーマは青春と戦争の叙事詩で、どうも沢村栄治をモチーフにしているらしい。
だから野球で戦争なのね……って、何だこの強烈な違和感は。
最後だけ読んでみたのだが、魔界王国の世界侵攻作戦が開始され、日本が爆撃を受けたところで終わっている。
結びは「この時から竜介の新しい戦いがはじまった。新たな甲子園を目指して――」
まあ俺たちの戦いはこれからだメソッドなわけですが、やっぱりこの作品は未完で終わってるみたいです。作者は続ける気満々みたいだったのですが……。