Mは生え抜きの主義者でありソビエト留学も果たしたが、そのソビエト留学において共産党に対する懐疑と幻滅を抱き、帰国後特高警察毛利基との出会いにより転向、以後スパイとして生きることになる。
当時地下組織であった日本共産党は、慎重を期した連絡体制のため、組織の中枢にいるものですら全体を把握することが困難であったが、Mは特高警察からのリーク情報とソビエト時代に培った人脈を駆使し、瞬く間に単独で連絡網と資金ルートを握り、組織をその手中に収めた。Mがその中枢を担っていた時代は非常時共産党とよばれ、共産党非合法時代において最も栄華を誇ったが、それは組織を成長させてから一網打尽にしようとする特高警察の方針によるものにすぎなかった。
往時の共産党を知る上で格好の入門書。
昭和史最大のスパイ・M―日本共産党を壊滅させた男
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小林 峻一 鈴木 隆一
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